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2007年1月20日 (土)

本 「クリプトノミコン」

いろいろな書評でも評価が高い、数学、暗号を題材にしたSF小説です。
文庫で4巻に渡るので、読むとかなりのボリュームになりますね。

時は第二次世界大戦前夜、プリンストン大学で数学を学ぶ、チューリングテストで名高くなる若き日のチューリング、そして大学の友人ローレンス、ルディ。
戦争が始まり、彼らはそれぞれ母国で暗号にたずさわっていきます。
英国、米国の連合国側とドイツ、日本との諜報戦、そして隠された金塊の謎が展開します。
物語は第二次世界大戦時と、ローレンスの孫ランディが生きる現代の二つの時系列が平行して展開していきます。
ランディは第二次世界大戦時に隠された金塊の謎に関わっていきます。

暗号に関わる諜報戦のところがおもしろい。
イギリスのチャーチルは、味方がドイツの暗号を破っていることを相手にわからせないために、暗号の内容がわかっていても相手の作戦に対して対応しなかったといいいます。
攻撃を防ぐために情報を手に入れるのに、情報を手に入れることを秘匿するために攻撃をさせる。
なんのための諜報なのかがわからなくなっていく、情報戦の倒錯感がおもしろいですね。

そのあたりはおもしろいのですけれども、登場人物はいずれも鼻持ちならない人間が多く、いまいち感情移入しづらく、かなりの長さのこの作品を読みきるのはちょっと辛かったです。

「クリプトノミコン1 チューリング」 ニール・スティーヴンスン著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011398-8
「クリプトノミコン2 エニグマ」 ニール・スティーヴンスン著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011401-5
「クリプトノミコン3 アレトゥサ」 ニール・スティーヴンスン著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011404-6
「クリプトノミコン4 データヘブン」 ニール・スティーヴンスン著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011407-2

暗号についてのノンフィクション「暗号解読 -ロゼッタストーンから量子暗号まで-」の記事はこちら→

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