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2006年12月18日 (月)

本 「破裂」

冒頭は医療ミスの内部告発から始まります。
そこに書かれている医師の言葉には、人の生命を八百屋が大根を見るように、ただの自分の仕事の対象としてしか見ておらず、それが人一人の生命であることの意識の薄さがあらわれているようで怖くなりました。
物語はそのような内部告発から大学病院内の権力闘争等が描かれ「白い巨塔」のような展開になります。
しかしこの小説はそれだけでは終わりません。
父親を医療ミスによって亡くしてしまった娘の病院を相手にした裁判は、法廷スリラーのような緊迫感があります。
厚生労働省の官僚が使う”内諜”の暗躍は、スパイサスペンスのよう。
主人公がストレスにより溺れていく麻酔中毒の描写はディックでしょうか。
長い小説ですが、読んでいて全く緊張感が途切れることはありません。
作者の方は現役の医師ということですが、これほどの小説が書けるとは驚きです。
さすが医師ということで、医療に関する専門用語などがたくさんでてきますが、決して読みにくいわけではなく、医師の現場のリアリティにつながります。
最後の物語のまとめ方はやや性急な感じがしました。
とはいえ、読み応えのある小説でありました。
今後の作品に期待です。

「破裂」 久坂部羊著 幻冬社 ハードカバー ISBN4-344-00698-4

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