本 「フラッシュフォワード」
神田の古本屋さんで購入した早川書房のSF小説です。
作者のロバート・J・ソウヤーの作品は「ゴールデン・フリース」というのを読んだことがあり、かなりおもしろかった印象が残っているのですが、内容までは覚えてませんでした。
内容について、ちょっと書きます。
CERN(ヨーロッパ素粒子研究所・・・HTMLによるWWWを生み出したことで有名)の科学者ロイドとテオは大規模な実験を実施、しかし実験は失敗に終わり、世界中の人々の意識は21年だけ未来に飛んでしまいます。
人々は自分が見た未来をもとにさまざまな行動を起こしていきます。
果たして未来は変更可能なのか、不可能なのか。
一種のタイムパラドックスものと言えるかもしれませんが、未来を覗くのが一回だけ、また世界の全員が同じ時間のビジョンを見るということが新しい発想に思えました。
僕がSF小説が好きなのは、ある一つのアイデア(上に書いてあるような事件)が起こった場合、世の中や人々の生活はどう変わっていくのかというシミュレーションのおもしろさがあるからです。
優れたSF作家は、世の中がどう変化するのかというのをさまざまな側面からとらえ、作品の背景にちらちらとのぞかせています。
それがSF的なありそうもない設定にリアリティをあたえていきます。
まさに「センス・オブ・ワンダー」ですね。
この作品の作者、ロバート・J・ソウヤーはそのへんの書き込みはしっかりしていると思いました。
話の中では、並行宇宙論やタイムパラドックスのようなSF的な要素も楽しめますし、21年後に殺されることがわかった主人公の一人テオの犯人探しなどのミステリー要素も盛り込まれていますので、読んでいて飽きません。
ですので、何かと難しそうでとっつきにくいイメージがあるSF小説ですが、読みなれない人でも入りやすいのではないでしょうか。
ロバート・J・ソウヤー作品「ターミナル・エクスペリメント」の記事はこちら→
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「フラッシュフォワード」 ロバート・J・ソウヤー著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011342-4
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