「武士 -MUSA-」 漢(おとこ)の生き様を見よ!
朱元璋が明を興し、元を再び草原に追いやった時代が舞台です。
なかなか中国・韓国の歴史はなじみがないですが、日本の歴史で言うとちょうど室町時代になります。
映画の冒頭、長年蒙古に服属していた高麗は明との和平を結ぶために使節団を南京に送ります。
しかしあらぬ疑いをかけられ、使節団は流刑とされてしまうところから物語は始まります。
まったく期待していなかったのですが、骨太に描かれた男の生き様を堪能できるなかなか良い作品です。
映像としては、戦争スペクタクルものとして当然ながら、迫力ある合戦シーンなどもあります。
黒澤明の「乱」のように大人数のエキストラを使ったを重厚な映像でした。
「ロード・オブ・ザ・リング」のようにCGで増やした兵士を使った戦闘シーンも大いに興奮しますすが、こういうリアルな映像も別の意味で迫力あります。
血なまぐささもありますが、それが戦闘の重々しさをリアルに表していたような感じがします。
この作品、何が良かったかと言えば、それぞれに男らしさを感じるキャラクターとそれにベストマッチの俳優たちです。
公開時はチャン・ツィイー出演を売り文句にしていたかと思いますが、この作品は男優陣がとてもいい。
(もちろんチャン・ツィイーの美しさも堪能できます。
「グリーン・ディスティニー」でもそうでしたが、ちょっと生意気なお嬢様が似合いますね。)
まず寡黙な奴隷剣士ヨソル。
このキャラクターをチョン・ウソンは、大きな体躯を活かし堂々と演じています。
大柄な体を使い、ぶんぶんと槍を振り回す姿は武神のよう。
義を重んじ、かつ愛を内に秘め、それに殉じる姿はまさに漢(おとこ)です。
男が惚れこむタイプかもしれません。
物語でも、敵である蒙古軍の将軍は、その力量を見抜き武士<ムサ>として手に入れようと欲します。
そしてアン・ソンギが隊正役を演じます。
この隊正というキャラクターは知恵者であり、かつ行動力がある男。
部下たちの気持ちをくみ上げ、皆をまとめあげ引っ張っていく。
男がいつかはこうありたいと願うリーダー像で、アン・ソンギがしぶーく演じています。
こういうのもかっこいい。
そして最後にチェ・ジョン将軍。
自分自身の臆病さを、プライドで覆い隠している青年将軍です。
いくつかの失敗をし、人の命を犠牲していくなかで、自分自信の弱さに気づき克服することにより、成長していきます。
男の弱さ、繊細さを表現しているキャラクターでしょう。
チュ・ジンモがプライドが高いが、内面はナイーブな青年をよく演じていますね。
この作品見た時にふとイメージしたのは、「北斗の拳」。
荒れ果てた荒野を舞台にしているということもあるでしょうが、義に生き、愛に死す男たちの生き様から思い浮かんできたのかもしれません。
「七人の侍」のにおいも感じます。
においたつ男のロマンを感じる作品ですね。
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