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2006年9月 1日 (金)

本 「コミュニケーション力」

「コミュニケーションとは何か。意味や感情をやりとりする行為である。」と著者は本書の冒頭に書いている。
まさにその通りだと思う。
広告・マーケティングにおいては「コミュニケーション戦略」と言うと、いかに消費者に内容を伝えるか、わからせるかという意味合いで使われることが多い。
ある意味一方的な伝達の意味合いが強い。

日常においても、最近の若い人は一方的に自分らしいことを主張することが多いように思う。
弁舌滑らかだったりするのだが、実のところ相手のことを気にすることはなく、自分が自分がとアピールすることが上手になっている。
それはコミュニケーション上手ということではない。
後輩などにもそういう人がいるのだが、僕からするとなんでそんなに自分の考えたことだけがすばらしいと思えるのか不思議である。
上で引用したように、「コミュニケーション」とは「やりとりする行為」である。
自分のことを理解してもらい、そして相手のことを理解する。
そのやり取りの中で、相乗効果が起こり、新しい発見がある。
自分が、自分がと言っている中身に、その自分がいままで経験したこと(見たこと、聞いたことを含め)以上のことは出せるはずがない。
コミュニケーションすること、つまり人の話を聞き、考えることにより、自分が直接得られなかった経験を得ることができるのだ。
自分のことだけを主張する一方的な伝達では、自らの幅を狭め、新しい発見をすることができなくすることだと思う。

また上記引用にある「意味と感情を」ということも、意味深いと思う。
今、社会の人と人の関係性はドライになってきていると思う。
一昔前は職場であっても、人と人の感情のやりとりがあり、その人の人柄を理解した上でのコミュニケーションがあったと思う。
最近では雇用形態の変化などもあり、ドライな関係、仕事に必要な意味(情報)だけのやり取りが、仕事におけるコミュニケーションだと考えている若い人が多いと思う。
「おつきあい」などというのは、うざったいといった考え方だ。
昔のような粘っこい「おつきあい」は僕自身も願い下げなのだが、まったくないのもいかがなものかと思う。
感情のやりとりがあってこそ、その人となりを理解できるわけで、それがないとその人がどう思って何を考えたのかがわからない。
意味だけをきちんと伝えればコミュニケーションは成立するのかと思っているのだろうが、それほど人は理性的ではない。

スペックだけの一方的な伝達ではコミュニケーションとは言えない。
自己の主張だけを行う人にこそ、読んでほしい本である。

「コミュニケーション力」 齋藤孝著 岩波書店 新書 ISBN4-00-430915-8

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