素晴らしかった!
久しぶりに映画を観て、鳥肌がたつ経験をしました。
公開前はマリという新キャラクターが登場するということくらいしか情報がなく、大きく物語はオリジナルから変わっていくであろうと予想していました。
マリは本作冒頭から登場し、この物語が以前の「エヴァンゲリオン」とは異なるというサインにはなっていたと思います。
ですので全く異なるストーリー展開になるかと思いましたが、本作の中で語られるエピソードは旧作「エヴァンゲリオン」の中でも印象深いものが活かされていました。
宇宙空間からネルフ本部を目指して落下してくる使徒を、シンジ、アスカ、レイの三人で撃滅するエピソード。
エヴァ参号機が使徒化してしまうエピソード。
綾波レイの特攻攻撃のエピソード。
ただし一見同じように見えるエピソードも新劇場版の新しいストーリー、新しいメッセージのために巧みに再構築されています。
新劇場版が旧作と異なる最も大きな点は、シンジ、アスカ、レイという三人のキャラクターの「世界」へのスタンスです。
旧シリーズでは彼らエヴァンゲリオンのパイロットの少年少女は、それぞれに世界・世間からの疎外感、そして孤独感を感じています。
シンジは父親に捨てられたという孤独感。
アスカは自分の力のみしか頼れないという孤独感。
レイは人とは異なるものとしての孤独感。
旧シリーズのキャラクターは激しいほどの「世界」への拒否感が感じられます。
それがあの最終回に繋がるわけです。
しかし新劇場版の三人も旧シリーズ同様の疎外感・孤独感を持っていますが、彼らは彼らなりに自分以外の人間とコミュニケーションをとろうと行動をしようとする気持ちをもっています。
アスカやレイのためにお弁当をつくるシンジ。
シンジのために慣れない料理をしようとするアスカ、そしてレイ。
旧シリーズにはないこれらのエピソードが、新劇場版の三人の世の中へのスタンスが変わっていることを如実に表しています。
誰かを好きになる気持ち。
その誰かを守りたいという気持ち。
「ありがとう」と言える気持ち。
そういう気持ちを三人は持って、そして自ら戦いの場にでていくことを選択するのです。
レイとシンジを思いやり、参号機のテストパイロットに志願するアスカ。
シンジを守るために自爆を選ぶレイ。
そしてレイを守るために、一度降りたヱヴァンゲリヲンに搭乗することを選ぶシンジ。
誰かに命じられたからというのではなく、彼ら自身が選んだのです。
旧シリーズではアスカの「気持ち悪い」という台詞が印象的でした。
これは人と繋がることが自分を侵されるような気持ちになるということであったのでしょう。
けれども本作ではレイの「ポカポカしてくる」という台詞がとても心に残ります。
人と気持ちが通じ合うこと、それがとても幸せな気持ちであることということを言っているわけです。
旧作から新劇場版へ、彼ら三人はコミュニケーションを拒否するのではなく、繋がろうと大きく変わっているのです。
「大人になれ」とゲンドウはシンジに言います。
自分の願いを叶えるためには誰かを利用することを厭わない。
それほど強い覚悟がなければ、自分の願いを叶えることはできないとゲンドウは言いたかったのでしょうか。
確かに「世界」は理想論で語れるほど優しいものではありません。
過酷であると言ってもいいでしょう。
だからゲンドウの言うことも一理あるかもしれません。
そのような大人たちの存在があるからか、旧シリーズではシンジの「大人になること」への拒否感というものを強く感じました。
けれどもずっと子供でいることを世の中が許してくれるわけはなく、それをわかっているからこそシンジは「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」と繰り返し唱えながら戦っていたわけです。
新劇場版では子供たちは、旧シリーズのように子供のままでいようとするのではなく、ゲンドウたちのような旧世代の大人ではなく、新しい時代の大人になろうとしているように思えました。
自分の願いとともに、相手を想うことができる、そんな大人に。
旧シリーズにおける「人類補完計画」。
人間と人間は究極的には理解し合えない。
人は傷つけ合ってしまう存在である。
すべての人が幸せになるためには、個というものを捨て去り、一にならなければならない。
これが碇ゲンドウが考える「人類補完計画」です。
けれども新劇場版においてはそのような大人の考えを越え、子供たちは必死で想いを繋げていこうとします。
自分も幸せになり、相手も幸せになる。
ゲンドウが推進する「人類補完計画」とは異なる答えを、彼らが導きだそうとしているように思えました。
本作最後のタイトルロールでは前作に引き続き、宇多田ヒカルさんの「Beautiful World」が流れます。
もしも願い一つだけ叶うなら
君の側で眠らせて どんな場所でもいいよ
Beautiful World
迷わず君だけを見つめている
これはまさに新劇場版の主題そのものを歌っている歌詞です。
そのテーマをこのように表現した宇多田ヒカルさんも素晴らしいし、だからこそ庵野監督も再びこの歌を主題歌にしたのでしょう。
彼ら三人は想う人の隣で幸せに過ごせる世界を目指しています。
彼らの「Beautiful World」が新劇場版の最後で実現することを、僕も願いたいと思います。
本作でのアスカには衝撃を受けてしまいましたが、予告で出ていたのでちょっとホッとしました。
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序」の記事はこちら→

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